多言語化の成果を全サイトのセッション増加だけで判断すると、季節要因や広告の影響を分けられません。言語別URLを軸に、発見、理解、行動、事業成果、運用効率の五段階でKPIを作り、公開前から比較できる状態にします。
公開前に市場と基準値を固定する
対象言語、国・都市、優先ページ、期待する行動を決めます。既存サイトに海外流入があるなら、国・ブラウザ言語・問い合わせ内容を過去90日で記録します。基準値がなければ公開後の増減を説明できません。
売上まで時間がかかるB2Bでは、資料閲覧、価格ページ到達、フォーム開始、商談化を中間KPIにします。飲食・観光では地図、電話、予約エンジンへのクリックを加えます。
発見・理解・行動を別の数字で見る
発見はSearch Consoleの表示・クリック・クエリ、理解はGA4の閲覧・スクロール・主要ページ到達、行動はフォーム・電話・予約クリックで測ります。表示が増えても行動が増えなければ、訳文、価格、信頼情報、導線を見直します。
平均値だけでなく言語別URLとランディングページで分けます。少数言語の改善が全体平均に埋もれないようにします。
純便益とROIを分けて計算する
純便益は『多言語化へ帰属する利益−総コスト』、ROIは『(多言語化へ帰属する利益−総コスト)÷総コスト×100』で計算します。分子には売上そのものではなく、原価を考慮した粗利益や案件利益を使い、総コストには導入、翻訳、レビュー、配信、更新、社内工数、広告費を含めます。
例として、90日後までに多言語経由へ合理的に帰属できる粗利益がA$36,000、総コストがA$24,000なら、純便益はA$12,000、ROIは(36,000−24,000)÷24,000×100=50%です。商談中の案件は受注確率を掛けた期待利益として別列に置き、確定値と混ぜません。
売上へ直接ひも付かない場合は、問い合わせ単価や商談化率を使い、仮定と範囲を明記します。問い合わせ削減、サポート時間短縮、海外営業資料の再利用も効果ですが、推測で金額化せず、まず対応時間や件数を測ります。
- 30日:クロール・表示・主要導線の不具合を直す
- 60日:クエリ・閲覧・フォーム開始から内容を改善する
- 90日:問い合わせ・予約・商談と総コストを評価する
結果に応じて広げる・直す・止めるを決める
成果がある言語は関連ページと更新頻度を増やします。表示はあるが行動がない言語は、検索意図、料金、事例、フォームを改善します。表示も需要もない場合は、対象市場やページの優先度を見直します。
『翻訳したから続ける』ではなく、四半期ごとに次の投資判断をします。小さく始められる構成なら、成果のない範囲を止めても全体を作り直す必要はありません。
実行前に押さえる要点
- 対象市場・ページ・行動と公開前90日の基準値を固定する。
- 純便益とROIを区別し、帰属利益と総コストの範囲・仮定を明記する。
- 30・60・90日で不具合、内容、事業成果を順に評価し、次の投資を決める。