用語集だけ作っても、文全体のトーンや過去訳の再利用までは管理できません。一方、翻訳メモリをためても、誤った訳を承認すれば繰り返し再利用されます。三つの役割と更新責任を分け、承認済み情報だけをAIや翻訳者へ渡します。
翻訳メモリは承認済みの文の対応を再利用する
翻訳メモリは原文セグメントと承認済み訳文の組を保存します。同じ文や似た文が出たときに候補を提示し、更新の速度と一貫性を上げます。商品説明、定型FAQ、UI文言のように反復が多い内容で効果が出ます。
ただし、文脈の違いを自動で解決するものではありません。同じ『charge』でも料金、充電、告発では訳が変わります。出典ページ、承認日、対象市場を記録し、古い価格や規約の文を再利用しないようにします。
用語集は単語・固有名詞の決まりを固定する
用語集には商品名、会社名、業界用語、訳さない語、禁止訳、短い説明を登録します。単なる対訳表ではなく、使用場面と品詞、複数形、表記例を持たせると誤用を減らせます。
検索キーワードと社内正式訳が異なる場合は、どちらを本文、見出し、注記で使うか決めます。用語を固定しすぎて利用者の言い方から離れないよう、検索データと問い合わせで見直します。
スタイルガイドは文章全体の振る舞いを決める
スタイルガイドは敬体・常体、親しさ、句読点、見出しの大文字、数字・日付・通貨、性別表現、CTAの調子などを定めます。『正しい訳』が複数あるときにブランドとしてどれを選ぶかを示します。
長い資料から始める必要はありません。対象読者、避ける表現、良い例と悪い例を各3件、日付・単位ルールから始め、編集で迷った点を追加します。
- 翻訳メモリ:承認済みの文を再利用する
- 用語集:単語・固有名詞・禁止訳を固定する
- スタイルガイド:トーン、表記、文章全体の選び方を揃える
所有者と変更履歴を一つずつ決める
各資産に責任者、承認者、更新日、変更理由を持たせます。営業が商品名を変え、法務が表現を更新しても、翻訳資産へ反映されなければ旧表現が再発します。
AIへ渡す場合も、最新の承認済み版だけを使います。モデルへの指示、参照した資産の版、生成後の修正を記録すると、品質改善の原因を追いやすくなります。
実行前に押さえる要点
- 翻訳メモリは文、用語集は単語、スタイルガイドは文章の振る舞いを管理する。
- 承認日・市場・出典を記録し、古い訳や誤った訳の再利用を防ぐ。
- 各資産に所有者と変更履歴を持たせ、AIには最新の承認版だけを渡す。