多言語サイトの作り方を考えるとき、最初に翻訳ツールを選びたくなるかもしれません。しかし、成果を左右するのはツールだけではありません。目的、対象言語、優先ページ、翻訳ルール、公開後の更新体制を先に決めることで、制作範囲と運用の負担を現実的に整えられます。
1. 目的と対象ユーザーを決める
まず、「誰に、何をしてほしいのか」を整理します。海外からの問い合わせを増やしたいのか、シドニーやNSWの近隣顧客に来店してほしいのか、旅行者や留学生にサービスを知ってほしいのかで、必要な言語とページの優先順位は変わります。
対応言語を人口の多さだけで決めると、実際の集客につながらないことがあります。問い合わせメール、予約名、Googleビジネスプロフィールの検索語句、来店前によく聞かれる質問など、すでにある接点から候補を絞ると判断しやすくなります。
- 海外の新規顧客から検索・問い合わせを増やしたい。
- 近隣に住む多言語話者へ、店舗やサービスの情報を届けたい。
- 旅行者、留学生、外国人材など、特定の顧客層に安心して選んでほしい。
2. 優先するページと情報構造を決める
多言語サイトは、すべてのページを同時に翻訳する必要はありません。トップページ、サービス紹介、料金、アクセス、FAQ、予約・問い合わせページなど、意思決定に必要なページから始めると、公開後の効果を確認しやすくなります。
ページを選ぶときは、翻訳対象の文章だけでなく、言語ごとのURL、ナビゲーション、言語切り替えリンク、問い合わせ導線も一緒に設計します。翻訳したページから予約や問い合わせへ進めなければ、読まれるだけで終わってしまうためです。
3. 翻訳ではなくローカライズする
直訳した文章が、そのまま現地の顧客に伝わるとは限りません。文字量の違いによるレイアウト、日付・通貨・単位、業界用語、問い合わせの言い回しなどを、対象市場に合わせて確認する必要があります。
ブランド名、商品名、専門用語、あえて訳さない言葉は、先に翻訳用語集へまとめておくと表記揺れを抑えられます。翻訳用語集の役割は、翻訳の質を担保するためのルールとして既存記事でも解説しています。
医療、法律、金融、安全、アレルギーなど、誤解が大きな影響を及ぼす内容は、公開前に適切な人が確認できる体制も必要です。
4. 言語ごとのSEOを組み込む
検索から見つけてもらいたい場合は、ブラウザ翻訳だけに頼らず、言語ごとに独立したページを用意します。各ページのタイトル、メタディスクリプション、本文、canonical、hreflang、サイトマップ、構造化データを、公開する言語とURLに合わせて整えます。
この設計では、翻訳文を作る工程と検索エンジンへページの関係を伝える工程を分けて考えることが大切です。多言語・多地域サイトのSEO設計では、言語別URLやhreflangを中心に、Google検索で理解されやすい構造を整理しています。
5. 公開後の更新方法を決める
営業時間、メニュー、料金、キャンペーン、スタッフ情報などは、公開後も変わります。元の日本語サイトを誰が更新し、どの変更をいつ多言語ページへ反映し、公開前に誰が確認するのかを先に決めておくと、古い情報が残るリスクを減らせます。
既存サイトを活かして多言語化する場合、元のCMSやサイトをそのまま使いながら、言語別の静的HTMLを追加する方法もあります。totioでは、URLと優先ページをもとに翻訳・ローカライズ・検索設定を行い、必要に応じて公開後の更新もサポートします。ただし、予約、決済、認証、埋め込みフォームなど外部サービスの表示や動作は、各サービスの公式の多言語機能を確認する必要があります。
小さく公開して、検索と問い合わせを見直す
最初からすべてを完璧にそろえるより、目的に直結する言語と主要ページから公開するほうが、運用を続けやすくなります。公開後は、言語別ページの検索表示、閲覧、言語切り替え、問い合わせや予約の変化を確認し、必要なページを追加していきます。
多言語サイトの制作は、翻訳量を増やすことではなく、顧客が理解し、比較し、行動できる導線を言語ごとに整えることです。対象言語と優先ページの決め方は、多言語サイトを始める前に決めるべき3つのことも参考にしてください。